第6章 薬研のこと
「優しいだろ、俺を拾ってくれたし…ケーキまで買ってきてくれて」
『それは……私が第一発見者だったし、放置して薬研に何かあったら嫌だったし…それに、ケーキは薬研が留守番してるから買っていこうかなって思っただけだよ』
「結局、俺の為ってことだろ?……すっげー嬉しい」
薬研は嬉しそうな笑みを浮かべながらケーキを口へと運ぶ
そんな無邪気な薬研が可愛くてしかたなかった
再びケーキを口にすれば、視界に薬研の荷物が飛び込んでくる
その事についても聞いてみたいけど……薬研が自ら話をしてくるのを待った方がいいのかな……
そんなことを考えていれば、私はいつの間にか険し顔になっていたのか薬研に指摘される
「名前…しかめっ面になってるぞ?」
『へ?あ、ご、ごめん…!』
「何か考え事か?」
『いや……そのっ……』
ここで聞いてしまえばいいのだろうが、私はつい口が吃ってしまいなかなか言葉が出てこない