第5章 心の穴を埋めて
「……名前、悪かった…」
『ん?どうして?』
私は優しく薬研を抱き返した
「いきなり、こんなことして……悪い。俺に嫌気が差したなら…追い出してくれ…」
そう言って薬研は私を抱き締めたまま、震えたような声で伝えてくる
そんな薬研の頭を優しく撫でてあげる
『…追い出すわけないよ。薬研…ずっと、居ていいんだよ…薬研が居たいなら、ずっと』
「……迷惑…じゃないのか…?」
少し身体を離せば、不安げな表情でこちらを見てくる薬研
そんな薬研は先程と打って変わって幼い男の子だった
『もちろん…薬研が居たいなら居てもいいから、あんまり不安がらなくていいよ』
「……ありがとな…名前……」
少し安心したのか、表情が柔らかくなった薬研
その表情に私は少しだけほっとして、こっちまで笑みが零れた
これから、色々話してくれたらいいな…薬研のこと