第3章 君と新生活
身支度をすませ、荷物を持てばリビングに居る薬研に人声掛けた
『じゃあ、仕事行ってくるね?あと、これ。合鍵置いておくから、外出する時は使って?』
「合鍵か…ははっ、なんか恋人みたいだな」
そう言って優しく笑う薬研
その笑顔にキュンとしてしまったが、煩悩を振り切って薬研に合鍵を押し付けた
『じゃ、じゃあ…行ってきます…!』
私は恋人みたいだと言われたことがすごく恥ずかしくて、足早に玄関に向かえば靴を履いて玄関を出た
『……子供に…なんでこんな……』
そんな心の声を呟けば、私は気持ちを切り替え仕事へと向かった
部屋に取り残された薬研は、合鍵を見ながらひとり笑った
「名前に拾われて…良かったかもな」
その言葉は誰にも届くことはなく空気になった