第2章 大混乱の嵐
どこだろ、調理室。
てか、ここって使用人がみんな辞めちゃったんだよね?あの料理はだれが作ったんだろ。
そんなことを考えていると少しドアが開いている部屋があった。
中からは光が漏れている。
そっと隙間を覗くと冷蔵庫やコンロ、食器棚が見えた。
ななし 『あ、調理室だ!』
調理室はここか、覚えとこー
? 「どうした?迷子にでもなったのか?』
ななし 『うわぁ!?』
調理室にいたのはアベルさんだった。
アベル 「そんな驚かなくても…」
ななし 『ごめんなさい、アベルさんどうしてここに?』
アベル 「ああ、明日の朝食の下準備をしてたんだ。」
明日の朝食の下準備?
あ!もしかして今日の夕食もアベルさんが!?
ななし 『今日の夕食、アベルさんが作ったんですか?』
アベル 「ああ。…口には合わなかったか?」
ななし 『いえ!とても美味しかったです!アベルさん、お料理なされるんですね!』
アベル 「ああ、小さい頃から料理が好きでよく使用人と一緒にやってたんだ。あの時はみんなでやってたから楽しかったけど、今は1人だし仕方なくやってるけどね。」
そう言って俯いてしまった。
そっか、今は使用人いないからずっと1人で料理してきたんだ。
なにか私もお手伝いできれば…
ななし 『これからは私も一緒にお料理しますよ!とは言っても簡単なものしか作れないけど…』
するとアベルさんがガッと私の両手をとって嬉しそうに笑った。
アベル 「ほんと!?俺と一緒にお料理してくれるの?」
あー、なんか可愛い。
口調は普段大人っぽくしてるけど意外と子供っぽい。
アベルさんが急にハッとなって私の手を離して目をそらした。
アベル 「そ、そんなに俺と料理したいというなら仕方ないな。これからは俺の手伝いをさせてやる。」
……ん?
これはもしや…
ツンデレ!!!!
かわいい…!!
しかし、まだ、いじらないでおこう。
ななし 『はい、手伝わせてください!あ、じゃあ、さっき使った食器運んできますね。』
アベル 「ああ、よろしく」
私は食器を取りにもう一度、晩餐室へ戻った。