第5章 吸血鬼兄弟の目的
ななし 『あ、ありがとうございました』
ジョシュア 「ん?ああ、あれくらいなんてことないさ。そんなことでありがとうなんて言ってるのかい?君ってば変な奴だなぁ〜」
そう言ってジョシュアさんは私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
ななし 『…うあっ…!』
ジョシュア 「はははっ!お、着いたぜ。」
ジョシュアさんの目線の先をみると可愛らしいお店があった。
店内はカラフルな布が埋め尽くしていた。
するとジョシュアさんがカバンから紙を取り出した。
気になって覗き込むと可愛らしい服の絵が描かれていた。
ななし 『わぁ、とっても可愛い洋服ですね!』
ジョシュア 「だろ?今日はこの服に使う布を買いに来たんだ。君からも色々案を聞きたいんだが…」
ななし 『わ、私ですか!?お力になれるかどうか…』
ジョシュア 「男の俺じゃ分からないことも、女の子の君なら分かるかもしれないじゃないか!」
確かに。
男6人で女子の服を作るのは大変だと思う。
ななし『分かりました、手伝います』
ジョシュア 「ありがとう。じゃあ、まずはここの部分…」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ジョシュア 「今日はありがとう。やっぱ女の子の意見を聞くと色々勉強になるな!」
ななし 『いえいえ、お力になれてよかったです』
私たちは買い物を終え、市場を並んで歩いていた。
私たちが来た時よりも人が多くなっている。
通りすがる人がジョシュアさんを見ては
「ねぇねぇ、今通った人かっこよくない?」
などと口々に言っていた。
まあ、そう言いたくなるのは分からなくもない。
彼は誰が見ても絶世の美男だ。
彼だけではない。
アーロン家の兄弟は皆、吸血鬼だからか、あの美貌に叶う者はいないんじゃないかと思う。
こうして並んでいたら私と彼は恋仲にでも見えるのかな、なんて。
てか、ジョシュアさん、彼女とかいるのかな?
ジョシュア 「ななし?」
ななし 『あ、はい!』
急に名前を呼ばれびっくりして目を見開いた。
ジョシュア「ぼーっとして大丈夫かい?疲れたなら少し休憩しようか?」