第4章 私の仕事
ガタ、ガタンッ!!
ななし 『いっ…た…』
引きずり込まれた時に浴槽に足を盛大に打ってしまった。
すねがズキズキと痛む。
これ、アザになったな…。
服はビショビショだし。
ジョシュア 「はい、これで風呂入れるぞ。早く体洗ってよ。」
ななし 『そんなのっ、無理です…』
俯いていると私の手を自分の股へと持っていった。
ジョシュア 「なぁ、早くしろ」
ぐっと低くなったジョシュアさんの声に驚いて顔を上げればそこには今までに見たことのない冷たい顔があった。
ななし 『ひっ…!!』
私は石鹸を取り、手に馴染ませた。
そして震える手でジョシュアさんのタオルの下へと手を伸ばしたとき、扉の向こうから声が聞こえてきた。
アベル「おい、大丈夫か??」
ジョシュア 「…ちっ」
ななし 『アベ…んっ!?』
ジョシュアさんは私の口をとっさに手で覆った。
ジョシュア 「なんだい、アベル?」
アベル 「ジョシュア兄様か。いや、大きな音がしたから何かあったのかと」
ジョシュア 「あー、シャンプーのボトルを落としただけだ。」
アベル 「ん?そうなのか。あ、そういえばななしを見ていないか?さっきからどこにもいないんだけど」
ジョシュア 「知らないな。俺も見ていない」
アベル 「そうか、わかった、ありがとう」
そう言うとアベルがどこかへ去っていく足跡が聞こえた。
と、同時に私の口からジョシュアさんの手が離れた。
ジョシュア 「はぁ、危なかった。扉を開けられなくて本当良かったよって…え!?」
私は恐怖からの解放感に安心し自然と涙が溢れた。
ななし 『うっ、ぐす…』
ジョシュア 「ご、ごめん!泣かせる気はなかった…。」
ジョシュアさんは、ほらっと言って私を抱きしめてくれた。
全てあんたのせいだよって思ったけど、優しいジョシュアさんに戻って安心したから言えなかった。
ジョシュア 「頭洗ってくれてありがとう。もう俺は出るからさ、早く君も入っちゃいなよ。風邪を引いたら困る」
そう言ってジョシュアさんは風呂場から出て行った。