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【R18】あなたは誰を選びますか?

第4章 私の仕事



ななし 『あーあ、アベルに悪いことしちゃったな…。』


私は食器を並べながらさっきのやりとりを振り返っていた。

苛立っていたとはいえ、なにもアベルに当たる理由なんてなかった。
ただの八つ当たりだ。


ななし 『最低だ、私…』


あとで謝らなくちゃ。
料理も任せちゃったし。


ナーシャ 「ななしちゃん?」

ななし 『うわ、びっくりした』


声のする方へ振り向くと扉の陰からナーシャが部屋の中を覗き込んでいた。


ナーシャ 「なんか、元気ない?」


今までだって元気ないわ。
まぁ、ここにきて元気でたのはあの中庭に行った時くらいかな!


ななし 『ううん、ちょっと考え事してただけ』

そう言って笑顔を作って見せた。


ナーシャ 「どんな?」

ななし 『それは秘密ー』

ナーシャ 「えー?ご主人様である僕にも言えないの?」

ななし 『ご主人様……。』

ナーシャ 「そうでしょ?ななしは僕の召使い!」


そうなるのか
まぁ、いくらそういう主従関係だったとしてもこれは話せない!


ナーシャ 「主人の言うことがきけないなんて…ないよね?」


ナーシャはじりじりと近づいてくる。
もうこれは逃げるしか…


ななし 『ご、ごめん!私まだ仕事が…!!!』

ナーシャ 「え、ちょっと…!?」


私はナーシャを置いて晩餐室を猛ダッシュで出て行った。

主人の言うことは絶対!、なんてことしてたら私の体とメンタルが持たない!

私は猛ダッシュのまま調理室に駆け込んだ。


ななし 『アベル!さっきはごめん、イライラしてて…関係ないアベルに当たっちゃった…。ごめんね。』

アベル 「別にいいけどさ、なにをそんなにイライラしてたの?それは俺には話せないの?」

ななし 『いや、ほんと大したことじゃないの!平気!』

アベル 「そうか」


アベルは優しく微笑んではくれたけどその笑顔はどこか悲しげであった。


アベル 「まだ教えてくれないんだね…」

ななし 『ん?なんか言った?』

アベル 「いや、なんでもない」


その小さなアベルの声はななしには届かなかった。







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