第3章 貴族の朝食
そのあと私はアベルに昨日の夜、アッシュさんから聞いたことや、今までの出来事を簡単に話した。
アベルさんはちょっと都合の悪そうな顔をしたが、最後まで静かに聞いてくれた。
アベル 「うーん、なんていうか…おつかれ」
かっる!
アベル、私は死にそうだったっていうのになんだその軽さは…!!
ななし 『薄情者ー…』
アベル 「なっ、誰が薄情者だ!俺はちゃんと心配してだな…!」
ななし 『あーーー、わかってるわかってる!アベルは優しいくて、かっこよくて、お料理もできちゃう素敵な人だものね!』
アベル 「や、やめろ!!もういい!」
アベルは真っ赤になった顔を手で覆った。
あー、かわいい
まぁ、アベルが心配してくれてるのは分かるんだよ?
でもこっちは大変なんだよ…
ななし 『ふっ、ふふっ…、はははっ!あははははは』
アベル 「え?なに、こわいんだけど…」
ななし 『ふははっ、なんかアベルが可愛いくて元気出てきた!』
アベル 「はぁ?どういうことだ」
ななし 『そのままの意味だよ!アベルありがとう!』
アベル 「え、あ、ああ。」
はーーー、なんかもうこんなことで、くよくよしてるのも馬鹿らしくなってきたな。
もう、ここに来ちゃったことには変わらないんだ。
いっそもう開き直ってやろうじゃないの。
私は両手で両頬をパンッと叩いた。
その音にアベルがビクッとしてしまったから、私はおかしくて笑ってしまった。
ななし 『アベル!私、これからなにしたらいいかな。仕事のこととかなんにも分からないの。』
アベル 「あー、そうだな。まずは……」
私はアベルにこれからやるべき仕事について詳しく教えてもらうことにした。