第3章 貴族の朝食
私はレイさんの部屋を後にして、三男であるジョシュアさんの部屋へ行くことにした。
ジョシュアさんとは自己紹介以来話したことないから緊張するな。
コンコンコン…。
ななし 『ジョシュアさん、朝食を持ってきました。』
ジョシュア 「入っていいぞー」
扉を開けて部屋に入るとそこにはすでに着替えも済ませているジョシュアさんがいた。
そして相変わらず部屋はカーテンが締め切っていて暗い。
ななし 『おはようございます!今日はスコーンとダージリンティーです。」
ジョシュア 「ああ、ありがとな」
そう言って優しく微笑んでくれる。
笑顔が素敵すぎる。
そんな紳士的なジョシュアさんに見とれてると、パクッとスコーンを口に運んだ。
ジョシュア 「おいしい。これ、君が作ったのか?」
ななし 『あ、はい。アベルさんと一緒に作ったんです。』
ジョシュア 「へぇ〜、アベルとね…。」
ジョシュアの顔が曇ったのをななしは気づかなかった。
ななし 『じゃあ、私はこれで失礼しますね』
私はジョシュアさんに背を向け扉に手を掛けた。
するといきなりぎゅっと背後から抱きしめられた。
ななし 『う、わあ!?』
慌てて後ろを見るとそこには私の肩に顔を埋めるジョシュアさんがいた。
ジョシュア 「………………。」
え…、なぜ何も言わない。
これどういう状況なの?
ななし 『ジョシュア…さん?』
ジョシュア 「ちゅっ…」
首元にジョシュアさんの冷たい唇が当たる。
ななし 『ひっ!』
ジョシュアさんは私の首筋を下から上に舐め上げる。
初めての感覚に全身がびりびりとする。
これって噛まれる!?
私はぎゅっと目をつぶり痛みに耐えるため身構えた。
ジョシュア 「あーあ、怖がらせちゃった。でもしょうがないよな、俺よりもアベルと仲良くなっちゃうんだから。」
いつものジョシュアさんじゃない。
こわい。
ななし 『え、どういうこと…?』
ジョシュア 「うるさいな、そのまんまだよ。」
ジョシュアさんの抱きしめる腕に力が入る。
ななし 『く、苦し…!』
そんな言葉も聞こえないのかさらに首に唇をつける。
今度は鋭い痛みを感じた。
噛まれたのかと思ったがそうではなかった。