第3章 貴族の朝食
アッシュ 「もう、君ったら俺が吸血鬼だって忘れちゃった?」
そうでした。
吸血鬼だもんね。
日光なんて浴びたら大変だもんね。
吸血鬼ねぇ〜…ん?
そういえば、昨日私、アッシュさんに噛まれたんだった!
私はとっさに首もとを確認した。
が、傷も痛みもなにもなかった。
アッシュ 「あ、昨日はごめんね?痛かったよね?」
相変わらずへらへらしてるなこの人…
こっちは大変だっていうのに。
ななし 『へ、平気です…。』
ニコッと笑ってみせる。
顔が引きつってなきゃいいけど…。
ま、怪我自体は吸血鬼の唾液のせいでふさがってるしなんともないから大丈夫か。
おっと、こんな長居してられない!
次のとこいかなきゃ。
ななし 『じゃあ、私はこれで失礼しますね』
アッシュ 「はーい、ありがとね〜」
私はアッシュさんの部屋を出て次に次男のレイさんの部屋へ行くことした。
レイさんの部屋につき、声をかけてみたが返事がなかった。
しかたなく部屋に入ると大きな本棚が目に入った。
たくさんの本が棚をびっしりと埋めている。
机は書物などで散らかっていた。
そして驚くことにレイさんがまだベッドの中にいた。
あのしっかり者のレイさんが寝ているなんて…!!
びっくりだ!
よし、起こそう。
ななし 『レイさん、起きてください。』
レイさんの目が開いたと思ったらバッと体を起こした。
レイ 「今何時ですか!?」
ななし 『あ、えっと、8時半すぎですけど…。』
それを聞くとレイさんはがっくりと肩を落とした。
きっといつもより起きるのが遅かったんだろう。
レイ 「俺としたことが…。」
机の上の散らかりよう、きっと勉強でもしてたんだろうな。
ななし 『昨晩、勉強でもなさってたんですか?』
レイ 「ああ、ちょっと気になることがあって…あ、朝食ありがとうございます。」
ななし 『いえ、じゃあ私はこれで失礼します。』
私はレイさんに紅茶を入れて部屋を後にした。