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【R18】あなたは誰を選びますか?

第2章 大混乱の嵐


ななし 『あ、あの、アッシュさん…?』

アッシュ 「続きを話して?』

口角を上げニッと笑うがその目は笑っていない。

なんか、雰囲気変わった。
怖い…。

ななし 『は、はい。私が指を切っちゃった時、アベルさんが傷を、な、舐めたというかその…』

アッシュ 「吸った?」

アッシュさんが耳元でそう言った。

ななし 『ひっ…』

目の前にいたはずのアッシュさんはもう私の隣にいた。

アッシュ 「あ〜あ、アベルが俺を出し抜くなんてね。思ってもなかったよ。」

アッシュさんが私の腰に手を回して、私の肩に顔を埋める。
近すぎてアッシュさんの息が当たってくすぐったい。

アッシュ 「妬いちゃうなぁ…?」

耳元でそう言われた瞬間、首筋に鋭い痛みを感じた。

アッシュ 「ぢゅっ……はっ…ちゅ…」

ななし 『い、痛っ』

なにこれなにこれ
なんで首筋に噛みついてるの!?
しかも血を吸われてる!?
これじゃ…これじゃまるで…

ななし 『…吸血鬼…』

アッシュはペロッと首を舐めると顔を上げた。

アッシュ 「ご名答。」

そう言って不敵に笑った。

吸血鬼。
それがどんなものかくらい知ってる。
おとぎ話に出てくる人間の血を吸って人を殺す恐ろしい生き物。
でもどれも嘘だと、誰かの作り話だとばかり思っていた。
実際にいるなんて知らなかった。
ああ、私、吸血鬼なんかに殺されて終わるんだな。
特にやり残したこととかはないし、悔いもないけど自然と涙が溢れ出してきた。

アッシュ 「うわっ、え!?ごめん!痛かった?」

ななし 「もう…早く、殺して…!」

アッシュ 「え?え?なに、ほんとごめん。うわっ!!」

私はアッシュさんの胸ぐらを掴んで必死に訴えた。

ななし 『あなたたちは吸血鬼なんでしょ!私の血を全て吸い尽くして殺す気なんでしょ!辛いから…だから早く殺してよっ…!う、うぅ…」

私は採血が大の苦手だ。
血を抜かれると思うと気が遠くなる。

アッシュ 「そ、そうだけど!殺しはしない!!」

するとぎゅっと抱きしめられた。
冷たい肌。
普通の人間じゃないことを思い知らされる。

アッシュ 「落ち着いて聞いて。俺たち兄弟は吸血鬼だ。人間の血を飲まなければ行きていけない。だけど、人間は殺さない。少し分けてもらうだけ。」
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