第2章 大混乱の嵐
勢いで調理室を出てきちゃったけど、私みんなの部屋どこにあるか知らないな〜。
プライベートな部屋だから二階かな。
階段を登って長い廊下を歩く。
そしてさっきまでは気づかなかったけど部屋の扉の一つ一つには札がかかっていた。
ななし 『Na…s…ir…?あ!ナーシャか!』
もしかして部屋の札はみんなの名前かも!
これならアッシュさんの部屋もわかる!
アッシュさんの名前を探して歩いて行くと一番奥の部屋についた。
ななし 『A…sh…、アッシュ。ここだ!』
私は一回深呼吸をして扉を叩いた。
コンコンコン…
ななし 『あ、アッs…』
声をかける前に扉が開いて、アッシュさんがにっこり笑って立っていた。
アッシュ 「やっぱり君か〜。俺に色々聞きにきたんでしょ?」
ななし 『そ、そうです!なんで分かったんですか!?』
アッシュ 「んー、勘…かな?あはは!驚いた?」
そう言ってケラケラ笑う。
アッシュ 「さぁ、中に入って!どんな質問もスパパパパ〜ッと答えてあげるよ。」
アッシュさんの部屋には大きなベッド、背の低いテーブル、ソファなどが置いてあった。
私はアッシュさんと向い合う形でソファに座った。
アッシュ 「で、なにを知りたいのー?」
ななし 『えっと、まず元の世界に帰る方法はないのですか?』
アッシュ 「そうだね〜、ないよ。ただし次のメイドちゃんが来るまで!」
ななし 『次が来るまで…ですか。』
アッシュ 「まぁ、次が一生来ないかもだけどね〜」
そんなぁ〜。
家族も友達もみんな心配するから早く帰りたいのに。
ななし 『あの、私の住んでた世界ではどうなってるんですか?私がいなくなって行方不明みたいになってるんじゃ…』
アッシュ 「あー、それなら心配ご無用。君の住んでる世界は時間が止まっているからね。」
ななし 『な、なんで!?そんな魔法みたいなこと…』
アッシュ 「内緒!」
そういうとイタズラっぽく笑った。
あ、そーいえば魔法で思い出したけど、わたしの指の怪我が治ったのはなんだったんだろ…。
ななし 『私、さっきアベルさんと洗い物をしてるとき指を切ってし………っ!!!』
アッシュさんのにこやかな表情は消え、灰色の目がギラギラと銀色に変わったのが分かった。