第14章 恋色に揺れるヨーヨー【瀬見英汰】企画作品
ふと、目のはしに丸くて可愛い風船が目に入る
なにかと思えば、それは風船ヨーヨーだ
「あ、懐かしいー」
瀬見「?...ヨーヨー?」
私の呟きに首をかしげる瀬見
私は一つ昔の思い出を話した
「いやー、小さい時ね、お父さんとよくお祭りとかに行っては必ずヨーヨー釣りをしてたんだよね。私は下手っぴだけど、お父さんは釣るのが上手で!最近は親と一緒に祭りとか行かないからなー」
そんな風に思い出に浸っていると、瀬見が"じゃあ、やってみる?"と笑う
久しぶりだけど、面白そうだなと思い、"うん"と返事をした
1回100円で、店員さんから釣糸を貰って、ヨーヨーの入ったプールの前に2人で座り込んだ
私は糸の部分を水に浸けないように、慎重にゴムの輪の部分に針を引っ掻ける
「お、来たんじゃね?」
そう思いながらゆっくりと上に引き上げる
すると、糸は切れることなくヨーヨーを上に持ち上げた
瀬見「おぉ!上手いな」
そう言うと瀬見も"負けてらんねー..."と針を引っ掻けると、少し怪しい感じはしたが、なんとか糸はヨーヨーを上に上げた
瀬見「お、あぶねー....」
「セーフ、セーフ!」
そして、お互いもう一個チャレンジしようとしたら、糸が"プツンッ"と切れた
「あー!」
瀬見「やらかした...」
そんな風に2人で楽しくヨーヨー釣りをしていると、店員のおっちゃんが元気に"カッカッカッ!"と笑いながら話しかけてきた
おっちゃん「お前さん達、カップルかい?いやぁ、若いって良いねぇ!」
「なッ!」
瀬見「えっ...!」
"別にそんなんじゃ...!"と言い返そうとしたとき、おっちゃんがプールの中からピンクの可愛いヨーヨーを取り上げて、こう言った
おっちゃん「いやはや、いいもんを見せてもらったよ。これ、サービスするから、持ってきな」
そう言って、瀬見に無理矢理持たせる
私たちは断れず、素直に"有り難うございます"と言ってその場を離れた