第10章 君の香りを追えば【川西太一】企画作品
「......なんて読むの?」
よく分かんない文字で何か書いてあるけど読めそうにない、値札のところを見ると"フィスィ"と書いてある
「....フィスィ...で合ってるのかな?」
気になったので、説明文を読んでみる
"フィスィ"とは、ギリシャ語で自然という意味らしく、この香水はオーデコロンのシプレ系というものらしい
「オーデ...?シ...プレ?なんじゃそら....」
まずそこから分からない私はスマホを取り出して、ググってみる
オーデコロンとは結局のところ、濃さの種類?らしい...
これは、一番薄い2~5パーセント位
そして次に、シプレ...
これは香水の香りの系統みたいなものらしい
シプレ系は、自然な感じでぬくもりのある心地のいい香り...らしい
わ、わからん...
香水にこんな色々あるなんて知らなかった...
ひとまず、私は少しだけ手首につけてみる
爽やかな香りがフワッと広がる
「自然...なのか?」
よく分からないまま私はそこを後にして、他のところを見ていると、見ている時、さっきの爽やかな香りとは違うほんのりフルーツの心地いい香りがした
「?」
私はさっき香水をつけたところを少し嗅いでみる
すると、さっきとはまた違う香りがした
フルーツのほんのり甘い香りなのに、しつこくなくて、自然な感じ。そしてなにより、ずっと嗅いでいたくなる様な心地のいい香りだ
「いい香り....」
私はさっき"フィスィ"を見つけところに急いで戻る
やっぱりこれが一番気になる
でも、この香り...私がつけるには大人っぽ過ぎる...
そして、ふと思い付いた
「誰かにプレゼントしようかな...?」
いつも側に居る人につけていて欲しい。
気軽に喋れて、楽しい人。
そう考えると、出てくるのは1人しか居なかった
「....2500円.....。」
決して安くはない。でも、この人につけて欲しいと思ってしまった
「....よし....」
意を決した私は、その香水を持ってレジへと向かった