第8章 夏の思い出は一生輝く【木兎光太郎】
取り合えず、たまたま会った感を出しながら光太郎に近づく
「光太郎~どうした。まーたショボくれか~?」
「う"...夢香...ち、ちげーよ!」
違うと言いながら、汗を吹き出し手をブンブン横に振る
めっちゃ焦っとるやん。昔から嘘はつけないやつだったもんね。光太郎はさ
「そ、それより、夢香はどうしたんだよ!」
「んー?私はクールダウンと言う名のサボり」
「またかよっ!」
ゆなには悪いが、本当のことだし...(汗)
てか、クールダウン自体サボりだと思うけど
「今回はどうした」
私は何も隠さず理由を聞いた
「...ストレートの打ち方が分かんなくなって...思い出そうとしているうちに、クロスも分かんなくなって....」
「あー、あるある」
って、ある訳ねーだろ
でも、話を合わせておく
「良いよな~!夢香は何時でもストレートもクロスもキレキレでよ~」
「そうでもないよ。私だって調子の良いとき悪い時あるし、光太郎ほど威力も無いし」
私は才能がない。
「でも、元からの才能と言うよりは、自分で磨きあげてきたスパイクだもの。忘れにくいに決まってるよ」
「確かに、夢香はめっちゃ練習してたもんな~!」
「うん。でも、そうなると、忘れやすい光太郎って天才なんだな~って思うよ」
コレは私の本当の気持ちだった
忘れやすいのはダメだけど、忘れられるってのは才能がある証明だと私は思う
「まーな!俺は5本の指に入るスーパーエースだからな!」
いい感じに調子の乗ってきたのでこのまま戻せるかもしれない
「私は才能無いけどさ、光太郎は有るんだから、もっと練習に......」
「何でそんなこと言うんだよ...」
「え....?」
明らかに怒っている口調で言葉を被せられる
何か不味い事でも言った...?
「な、何が...?」
「....いや、じゃーな夢香俺練習に戻る」
「あ、うん...」
機嫌の悪いまま光太郎は体育館に戻っていってしまった
何か、気にさわる様なこと言った?
いや、言ってないはず...じゃあ何で...?
私は、モヤモヤと不安を膨らませながら女子の体育館へと戻った