第20章 雲の上の存在【及川徹.2019HPB】
それは土曜日のお昼前
いきなりゆなから電話が来た
『おはよー!夢香』
「……んー」
携帯の向こうから元気なゆなの声が聞こえる
私はまだ冴えきってない頭でなんとか返す
『おやおや、その感じはさっきまで寝てたな』
「うーん、寝てた」
『そかそか、あ、夢香!大至急駅前のマックに集合ね!じゃっッ!』
「……駅前、マック??」
意味が分からず言葉を繰り返す
そしてやっと意味がわかった時にはもうとっくに電話は切れていた
「……嘘やろ…」
私は軽い絶望を覚えながら、のそのそと起き上がって着替え始めた
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「あ!夢香~!こっちこっち!」
暫くして駅前のマックに向かうと、ゆなが待っていた
私は軽く手を振り返しながら彼女の元へ向かう
「いやー、いきなりごめんね!」
「べつ慣れてるけど……理由はなに?」
「あのね~、実は面白い噂を聞きつけちゃってねッ!詳しくは中で話すからとりあえず店入ろ!」
彼女は嬉々とした表情でそう言って店を勧める
私は言われるがままに中に入った
「席空いてないね~」
ハンバーガーとドリンク、ポテトが乗ったトレーを手に私達は立ち尽くす。そりゃ、ちょうどお昼時だし人が多いはずだ
すると、
「……あ!あれ花巻じゃない?」
「……え、」
花巻、名前を聞いたら分かる。
男バレの一軍の方だ。確かにゆなとは仲良さそうだけど、私は全く話したことない
まって!と言おうとしたが、それより早く彼女がその軍団に声を掛けていた
「おーい!花巻~!」
「……ん?…おぉ、山田じゃねぇか」
そう言って花巻君が手を振ってる
うわぁ……松川君に岩泉君、及川君までいるじゃん……
「あれ、もしかして席空いてない?」
松川君が私たちのトレーを見てそう問いかける
「そーそー、人多くてさ~」
ゆながそう返しながらヘラヘラと笑う
すると、岩泉君がこう言った
「俺と松川はこの後用あるし、ここで食えよ」
そう言って二人は席を立って、私たちが座るように促した
いや、まって……!?