第20章 雲の上の存在【及川徹.2019HPB】
「末期だな」
「だな」
俺と松川は声を揃えて頷く
及川は恥ずかしそうに "何が末期なの!?" と声を上げる
すると今度は花巻が席を立って及川の方を "ビシッ!" と指さし、こう言い切った
「及川ッ、お前は人を好きになる機会が少なかったから分からんかもしれんが、それは完全に惚れてる!!」
「ッ……そ、そうなのかな、、、」
改めて花巻に面と向かって言われ、少し体がこわばる及川
「だってさ、無意識のうちに顔が赤くなったり、言葉に詰まったり……明らかだよね?」
「それは~、、、うーん、、、」
松川の言葉にまたもや頭を抱えて唸る及川
でも、本当に及川らしくない
「いつもみたいにズバズバ行けよ」
俺がそう言うと、及川はバッっと顔を上げて "絶対無理ッ!!" と声を荒げる
「そんな事して引かれたらどうすんのさ!!」
その光景を見て松川と花巻が呟く
「うわ、及川が恋してる」
「それな、今まで女子が苦しんでた事、身をもって体感してるな」
それを聞いて及川がため息をつく
「はぁ………恋ってこんな苦しいんだね、、、なんか申し訳ないなぁ、、、」
及川のその発言。
確かにこいつはモテるし、そう言うのは頷ける
でも……
「おい、クソ川、なんかウゼェから一発殴らせろ」
「はっ!?理不尽ッ」
一応俺は及川の頭を一発殴っといた
「でもさ、こういうの面白そうじゃん?花?」
「なら、やってやりますか。松」
そう言って花巻は携帯を取り出してどこかへ連絡を入れた
「は、マッキー?なにやってんの!?」
「んー?まぁ、……恋のキューピットになってやろうと思って……な?」
そう言ってニヤリと笑う
チラリと見せた画面には山田と一番仲のいい山田ゆなの連絡先が映し出されていた