第19章 似たもの同士【矢巾秀】企画作品
女バレ「ねぇ!夢香!!あんた矢巾君と出来てんの!?」
「.........は?」
練習の休憩中、同じクラスで部内では一番仲のいい子が嬉々とした表情でそんな事を言い出した
こいつ、頭大丈夫か
「別にそんなんじゃないよ」
女バレ「はぁ!?あんなに仲良さそうで!?」
「別に、話が合うだけだよ」
そうやって言い返す
でも、改めて言われると少し恥ずかしいのは確かだ
女バレ「ふーん......でもさ、矢巾君と夢香って似たような感じたし、付き合っちゃえば?」
「ぶふッ」
付き合うとか言いだす友達に私は思わず飲んでいたお茶を吹き出した。本当に頭大丈夫か
「いや、別にそんな....」
そうやって言い逃れようとした時
女バレ「でも、矢巾君と話してる時、あんた、何かいきいきしてたよ?」
「........え」
女バレ「え、夢香気づいてなかったの?」
「え、そうなの?」
私はそんな事を言われると思わなくて、唖然とする
私が...矢巾のこと、好き??
........は?
私は真っ赤になって黙り込んでしまった
女バレ「あれ?夢香~?大丈夫?」
友達は面白いものを見るような目でこちらを覗き込んでいた
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その日、私は何とか友達をはぐらかして家に帰った
母「おかえりなさい」
「ただいま~」
いつもの様に挨拶して、お風呂に入って、ご飯を食べる
でも、母がいきなりこんなことを言い出した
母「そう言えばあんた、バレンタインとか誰かに渡さないの?」
「え?」
何故それを母親が気にするんだよ…
私は疑問に思いながら"渡さないかな~"と返した
別に渡す相手もいないしね
そう思った時、母はいつになく真剣な顔でこう言った
母「……本当に居ない?話聞いてくれる人とか、感謝したい人とか」
「……え、」
何故そんなに真剣なのかは分からないが、母の言葉に心のどこかが引っかかる
「それは……」
母「……やっぱり居るのね!」
「……」
私は思わず黙り込んでしまった
母「ふふっ、夢香は分かりやすいんだから」
そう言って母は笑った