第15章 時が経っても君を呼ぶ【赤葦京治】
赤葦side
前世、俺は夢香様というお方に使える執事だった
何故前世の記憶が残っているのかは分からないが、俺はきっとその人に恋...してたんだろう。強い意志があったのかもしれない
でも、彼女と会うことなく高校まで上がり、ついには二年生
そして二年生教室に入って、目を見開いた
彼女が...夢香様がいらっしゃるのだ
会えた時は嬉しかった
またあの時のように...と思った
だが、彼女は俺のことを覚えてはいなかった
分かっていた。
それが当たり前なのに、受け入れがたい
なので、俺は"山田さん"として彼女を見ることにした
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帰り道、言ってしまった
前世...信じる訳がない
あぁ、頭おかしいやつって思われるだろうな
そう覚悟した
「赤葦君はさ、前世執事だったりしてね(笑)」
驚いた
もしかして、記憶が戻ってるのか?
赤葦「ッ!そ、そうだね。あり得るかも」
とっさにそう返すも、頭の中は混乱していた
もし、覚えていたのなら...
そんな淡い期待が頭をよぎる
俺はそれを信じて行動に出た
勿論、覚えてなかった時の対処も考えつつ...
赤葦「前世、山田さんはお嬢様で俺は執事だった...って言ったら驚く?」
「__えっ?」
その反応に肩が落ちる
彼女は口を開かず、困ったような表情
覚えてない...か
赤葦「....冗談だよ。驚いた?」
俺はそう言って笑った
ただ、上手く笑えているか分からない