第15章 晒された本心(徳川家康/甘め)
すぐ近くに居る信長様と迦羅の会話する声すら耳に入っては来なくなっていた。
頭がクラクラする。
胸がひどく熱い。
目を開けているのも座っているのもやっとなくらい。
ようやく迦羅が俺の隣へ戻って来た。
信長様に呑まされたのか、その頬は上気して、やけに綺麗だ。
「大丈夫?呑み過ぎたの?」
心配そうに顔を覗き込む迦羅の可愛らしい顔を見たら、何かの糸が切れたみたいだ。
ぐっと腕を掴み、俺の胸の中に引っ張り込む。
「あ、あのっ、家康?」
皆が見てるから恥ずかしいんでしょ。
でも、俺には関係ない。
抱き締める腕に更に力を入れ、迦羅の耳元に唇を寄せる。
生温かい吐息に、迦羅はびくんと反応した。
「俺を放っておいてどういうつもり」
「ご、ごめん。そんなつもりじゃ…」
「そばに居るって言ったでしょ」
他の皆にやきもちを妬いてるなんて、もう隠しきれないんだ。
「…ごめんなさい」
背中を抱き返してくる迦羅が愛おしくて堪らなくなった。
溢れ出る想いのままに、迦羅の輪郭を捕まえて口付ける。
唇を離した俺と迦羅の顔はお互いが熱でやられている。
「おい、家康はご乱心のようだ」
さぞかし珍しいものを見たとでも言うように、信長様が声を上げて笑う。
俺は大して気にも止めなかったが…
「気にせず続けろ」
信長様がそんなこと言うもんだから、迦羅は今にも火が噴きそうなほどに真っ赤になって瞳を潤ませた。
このままじゃ茶化されて迦羅がおかしくなるかもしれない。
少し冷静になった俺は、手を引いて迦羅を立たせた。
「今日はありがとうございました」
皆に向かってお辞儀をし、さっさと広間を出た。
「あんな家康初めて見るよ」
秀吉は見せ付けられた二人の姿に赤い顔をしている。
「やっぱり変わったな、あいつも」
「ククッ、嫉妬などするとは」
「愛し合っている男女というのは、あのようなものなのですね」
「やはり家康にくれてやるのは勿体なかったか」
それぞれが口にした。