第15章 晒された本心(徳川家康/甘め)
城に着くと、広間の襖が開け放たれて、皆が到着を待っていた。
「遅いぞお前らー」
襖の前で腕組みしながら待っていたのは政宗さん。
「えっ、どうなってるの?」
訳がわかっていない迦羅の手を引き、広間に入る。
いつもの宴とは違い、武将達だけが揃い、膳と酒の用意をしていた。
上座にはもちろん信長様、その横に俺と迦羅の席が設けられている。戸惑う迦羅を座らせ、俺も隣の席に着く。
一息おいてから、秀吉さんがこほん、と咳をする。
「今日は大事な記念日だ、皆で祝おうと集まった」
脇息に頬杖をついた信長様も楽しそうに笑っている。
「家康、良い仲間を持ったことを誇りに思え」
「ええ、ありがとうございます」
いまいち状況が飲み込めないでいる迦羅に、俺は素直に気持ちを伝える。ちゃんと言わなきゃ。
「俺と迦羅が、恋仲になってから一年になった。これから先も、ずっと一緒に居て欲しいと思ってる。いいよね?」
迦羅は顔をほんのり赤く染めて、俺を見つめている。
「…はい。私もずっとずっと、家康と一緒に居たい」
そう言って眩しいくらいの笑顔になった。
「と、とりあえず始めないか」
何故か一緒になって頬を赤らめる秀吉さんに促され、二人の記念日のお祝いが始まった。料理はすべて政宗さんが作ってくれたもの。
今日は何だか今までにないくらいの賑やかさが広間に響いてる。
迦羅はと言えば、政宗さんに呼ばれては料理を食べ、光秀さんに呼ばれては酌をしながらからかわれて赤くなってる。
祝いの主役と言えどやっぱり女の子だから。
でも、皆のところへばかり行っててなかなかな戻って来ない。
俺のことは放っておいていいわけ?
釈然とせずに次々と酒を流し込んだ。
すると今度は信長様に呼ばれて酌を始めた。
すぐそこに居るとは言え、信長様が相手では長くなる。
何か、すごく嫌。
俺の迦羅なのに、皆のものみたいなのが、すごく嫌。
それが顔に出ないはずもなく、気付いた秀吉さんと政宗さん、光秀さん、三成までもが俺のもとへ来て囲んだ。
「気持ちはわかる。今は耐えろ」
秀吉さんに酒を注いでもらうと一気に流し込む。
「信長様じゃあ仕方ねぇさ」
政宗さんが酒を注ぎ、それも流し込む。
酔っていく感覚を覚えたけど…手が止まらなかった。