第84章 お菓子な恋愛模様(真田幸村/甘め)
——あの部屋ではまだ、三人が座っていた。
「折角の菓子を幸村に持って行かれてしまったね」
「余程食べたかったのかな、幸村」
「どうせみくじなど同じようなものだ。佐助、鍛錬の続きだ」
立ち上がった謙信はさっさと出て行く。
気乗りしないながらも後に続いて出る佐助。
「皆行ってしまったか」
ひとり残され茶をすする信玄は、襖のすぐ脇に落ちた紙片に気付いた。
「おや、あれは…」
紙を拾い上げて見てみれば
成る程、と納得したように笑った。
「ははっ、これは幸村には刺激が強過ぎるなぁ」
(契り——今宵は素直に求めよ)
完