第2章 棘のある病(徳川家康/微甘)
もくもくと食事をしていると、不意に政宗さんが口を開いた。
「で、どうなんだ?迦羅とは」
「は?」
どうだと尋ねられても、その真意がわからない。
「だから、ちゃんと仲良くやってるのかって聞いてるんだよ」
俺は半分呆れながら答えた。
「信長様の命だから必要なことは教えてますけど。」
この胸に芽生えている迦羅への気持ちを悟られないように、極自然に淡々と答えた。
ほう…と光秀さんは何やらニヤニヤしている。
政宗さんは不満そうに眉をひそめた。
「さっきのはそう言うことか」
政宗さんは何かに納得したように頷いている。
「さっきのとは、何だ?」
興味を持った光秀さんが話に食いつく。
そこからは二人のしつこい問い掛けに押され、俺はこれまでの迦羅とのやりとりを言えるだけ言った。
「お前の天邪鬼に翻弄されても逃げださないとは…なかなか肝の据わった女であるな、迦羅は」
光秀さんは感心したように言う。
「しかし、家康、と名前すら呼べぬとは…何かあるな」
光秀さんは何か勘付いたようにニヤリと笑ってみせた。
すると政宗さんも便乗し、
「なるほど…そういうことか」といやらしい笑みを浮かべる。
俺は嫌な予感がした。
迦羅は俺を好いているに違いないー。
光秀さんと政宗さんはそう言い切った。
だけど、そんなことはあり得ない。
こんなに、面倒だと思い、冷たい態度でしか接してこなかった俺に…
好きなのに、それすらも素直に態度に出来ない俺に…
そんな俺の何処を好いてるっていうの?
二人に大いに茶化されているだけだ、と妙な疑問はぐっと飲み込んだ。
三成だけは話が飲みこめていないようで
二人の顔を見回しては、わからない顔をしている。