第14章 我が儘な彼女(豊臣秀吉/甘め)
御殿に着くと、そのまま秀吉さんの部屋に連れられて布団に下される。
「わざわざ御殿にまで連れて来てくれなくても…」
「ダメだ。俺が責任を持って看るからな」
秀吉さんは優しく微笑み、頭をポンポンと軽く撫でた。
ーその時、家康の言葉を思い出す。
(たまには心配させるくらいさせておけばいいんじゃない)
秀吉さんは私の不注意だったと認める気もないみたいだし、家康の言う通りにしてみよう…。
「お前はそのまま休んでろ。俺はここでもう少し仕事かある」
文机に向かい、何やら書き物を始めた。
邪魔しても悪いし、言う通りに休んでいよう。
眠ってしまったのか、目が覚めると、壁にもたれるようにして秀吉さんが寝ている。
そっか、私が布団を使っているから、そんな所で寝てるんだ…。
私は少し考えた後、秀吉さんに声をかけた。
「そんな所で寝てちゃダメだよ、こっちに来て…」
薄っすら目を開けた秀吉さんは、次第に目を見開く。
私は布団の端に寄り、空いてる片側をポンっと叩いた。
恥ずかしさはあるけど、風邪をひかせるわかにはいかない。
「…早く」
照れながら言うと、秀吉さんは黙って布団に入る。
「秀吉さんが隣で寝てくれないと、寒くて怪我が治らないよ?」
「どこで覚えたんだよ、そういうの」
耳まで赤くしながら困っている秀吉さんも可愛い。
仰向けで寝る秀吉さんの胸に片腕を回し、その温かさを感じながら、私は眠りに落ちていった。