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【イケメン戦国】✿ 永遠の恋〜華〜 ✿

第84章 お菓子な恋愛模様(真田幸村/甘め)



盆の上でバラバラになった菓子。
乱雑に置かれた紙切れ。

それを見つめる迦羅の顔は晴れない。

「…悪かったな」

「皆で開ける楽しみが無くなっちゃったね!」

そう言いながら笑う迦羅だけどよ
女ってこういうの好きだもんな……。



「また買ってやるよ」

「要らない」

迦羅はぶんぶんと首を振る。

「幸村がそんな顔するくらいなら、要らない」

「何だよそんな顔って」

置かれた紙切れを一枚拾い上げる迦羅は
その表情を少しだけ曇らせた。


「想い人——すぐ近くにある、か。きっと何が出ても、喜んでるのは私だけだから」

「そうじゃねーよ」

「え?」

「俺だって、お前とのことだと思って、結構…浮かれてんだぜ」


言いながらも段々と頬が熱くなるのを感じ
迦羅から視線を外した。

上手く言ってやれねーけど
全部お前と結び付けて考えちまうんだよな。
お前のことだったらいいなって。
でもよ……


「ねぇ。さっきは何て書いてあったの?」

「は?」

視線を戻すと、すぐ目の前には迦羅の顔。
身を乗り出してその答えを待っている。

「だ、だからそういうことだよ」

「そういうことって何よ?」


グイグイと詰め寄る迦羅の着物の合わせに
白い紙がチラッと出ていることに気付いた。

…そう言えばこいつも何か隠してたよな?


「幸村ってばー」

「そういうお前は何だったんだよ」

「わ、私のは別にっ…」

「ふーん」


俺と同じく言い澱む迦羅の懐から
見えている紙をヒョイと取り上げる。

「あぁ!!ちょっと…!返してよ〜!」

「何だよ見られたらマズイのか?」

「い、いいから返してよー!!」

「どれどれ……」


その瞬間物凄い勢いで紙を持つ手に掴みかかって来た迦羅を避けようとすると、余った勢いで胸元に飛び込んで来た。


「わっっ…!痛たたた」

「お前なぁ、危ねーだろうが」

「だって幸村が意地悪するから——」


顔を上げた迦羅と至近距離で目が合えば
鼓動が跳ね上がるように音を立てる。

「あ、いや…」

急に照れくさくなって動きを止めると
僅かに視線を逸らした迦羅が、紙を奪い取った。


「ふふっ。残念でした!」








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