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【イケメン戦国】✿ 永遠の恋〜華〜 ✿

第84章 お菓子な恋愛模様(真田幸村/甘め)




「信玄様、お土産ですよ」


無事に城へ帰り着き
私たちはそのまま信玄様の部屋を訪ねた。

「ああ、ありがとう」

満面の笑みを浮かべる信玄様は
読んでいた書物を文机に伏せると
私たちの側へ来て腰を下ろす。


「どれどれ」

用意していたのか盆に菓子を開けると
何だか嬉しそうに目を細めた。

「これが噂の占い菓子か」

「遠いとこ買いに行かせやがって…」

隣でぶつくさ言う幸村だけど
そんなことはお構い無しに
信玄様は菓子に手を伸ばす。


「お待たせしました」

「俺を置いて始めるな」

同時にまた襖が開き
湯呑みを乗せた盆を持つ佐助くんと
珍しく興味津々な様子の謙信様が。


菓子を囲むようにぐるりと揃った皆は
其々がひとつ、手に取った。

「いいですね、こうして皆で食べるのも」

「姫の言う通りだな」

「さぁ、何が出るでしょうね」

「戦の吉凶を占う訳か」

「戦から離れろよ」


何でもない午後の此の時間。

一室に集ってお菓子を囲んで…
こんな日常がやって来るなんて
考えてもいなかったのにね。

それも全部、幸村に出逢ったお陰…かな。


「何だよぼーっとして、どうした?」

隣から覗き込む幸村に声を掛けられてふと目が合えば、いつもと変わらないドキドキがやって来る。


「う、ううん。何でもないよ!」

「そうか?」

誤魔化すように菓子に齧りつくと
向かいの信玄様と、はたと目が合う。

柔らかく微笑んだその顔に
幸村とは違うドキドキが……


「さぁて、姫のは何が出るのかな?」

…あ、占いが気になってるの?

齧った菓子から紙を取り出してカサリと開く。


「あ……」

「ん?何て書いてあったのかな?」

「えーっと…いや…」


(これは…どう言う意味で取ればいいの?)


「どうした?悪いことでも書いてあんのかよ?」

「いや、別に大したことは…」


言葉を濁す私の肩口から幸村が覗き込む。

「さ、さっきと同じような事!」

「ははっ。何か照れくさい事でも書いてあるんだろう」


柔らかい微笑みを崩さない信玄様は
何かを察したように助太刀してくれた。


「ほら!皆も食べて下さい!」

そう促すと、皆それぞれ手にしたものを口にした。



パリッ、パリリ——







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