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【イケメン戦国】✿ 永遠の恋〜華〜 ✿

第79章 白銀ノ月 ー5ー(石田三成)


その仕事に関することで光秀さんと話し込み、城を出る頃にはすっかり夜が更けていました。


城門の前で、御殿に戻る家康様とお会いしました。

「あら、家康様。お疲れ様です」

「…三成か」

私も家康様もお互いの御殿は近くですので
自然と一緒に歩き始めます。


こうして二人で歩くのは、あの夜以来でしょうか。揃って迦羅様を想っていることを知った日。


「ねぇ三成」

「はい、何でしょう」

「お前はもう…迦羅の返事、聞いたの?」

「いいえ。返事は貰っていません」

「…そう」


今日はやけに真っ直ぐに問い掛けてきますね。


「そう言う家康様は?」

「俺も、まだ」

「そうですか」


家康様も、やはり迦羅様に告げたのですね。

でも此れで正々堂々と、といく訳ですね。
何だか妙に清々しい気分です。

隣に居らっしゃるのが恋敵だと言うのに、私も可笑しなものです。




「ひとつだけ、約束してくれない?」

「はい?」



急に足を止める家康様に、一歩前に出た私もつられて足を止めます。

「絶対にあの子を、泣かせないって」

「…………」



一体何なのです?

まだ返事を聞いていないと言う割には、半分諦めたような、そんな言葉ー。

まさか家康様は、身を引こうと言うのですか?



「で、どうなの?」

「私だって迦羅様を泣かせたくはありませんよ」

「それなら、いい」


いつにも増して暗い顔を見せた家康様は、その後振り返ることも無く先に歩いて行ってしまいました。



迦羅様を泣かせるなど
私もしたくはないのです。

ですが……

あの日のように…今日のように…
自分自身のどうしようもない胸の内に駆られて、迦羅様に手を伸ばしてしまう。


そして其れを迦羅様のせいにしてしまう。


そんな私の心を
家康様は感じ取ったと言うのでしょうか。



果たして其の約束を守ることが出来るかどうか、正直に言えば私は、わかりません。

…すみません、家康様。










立ち止まったままの私の頭上では

清らかな明かりを灯す白銀の月が、私を見下ろしていましたー。





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