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【イケメン戦国】✿ 永遠の恋〜華〜 ✿

第79章 白銀ノ月 ー5ー(石田三成)


やっぱりあの後、迦羅のことが気になった。

三成のあの様子だと、もう迦羅に…。


でもそうだったとしても、俺はまだ何も言ってないんだ。

迦羅のこと、好きなんだって言う気持ち…何にも。



(やらぬ後悔のほうが身に沁みるとな)



わかってるよ。
俺にだって、こんなに誰かを想う気持ちがあるんだ。





そしてやって来た迦羅の部屋の前で、中に三成が居ないことを願った。


「迦羅、居る?」

「…えっ、い、家康?ちょっと待って…!」


何だか慌てたような声を出す迦羅は、少し時間を空けて襖から顔を覗かせた。

「ごめん、お待たせ」

「ちょっと入ってもいい?」

「うん。どうぞ」


良かった、あいつは居ないみたい。
それにしても、いつもみたいに笑ってるけど、何か無理してるの?



「目、赤いけど」

「え?そ、そうかな?気のせいだよ!」

必死に笑顔で取り繕う様子を見れば、何かあったことなんか馬鹿でもわかるのに。

俺には、言えないことなんだ。


「泣かされた訳じゃ、ないよね?…三成に」

「ちっ、違うよ!泣かされてなんか…」

「何かあったなら、言って。あんたのそんな顔、見たくないから」

「…………」



言葉に詰まった迦羅は、赤い目を伏せて俯く。
泣かされた訳じゃないなら、いいんだ。

だけど、だったらどうしてそんな顔してるのって、本当は聞きたい。

でもそうしたら、きっとあんたは答えないでしょ?だから、それは聞かない。



「ねぇ迦羅」

「……??」

顔を上げた迦羅と目が合ったら、可笑しいくらい、胸が騒ぎ出す。
きっとこれが、好きってことなんだ。


「俺は…あんたのこと、好きみたい」

「…え」

「いや、好きなんだ。すごく」

「い、家康…」


そんな困った顔しないでよ。
まるで聞いてもいない返事を、聞かされたみたいになるから。


「あの…私はっ…」

「ごめん、今は聞きたくない。考えるフリくらい、してよね」


自分の気持ちを告げるだけ告げて
急に返事を聞くのが怖くなった。

そしてすぐに、迦羅の部屋を出て行く。



勝手でごめん。

だけど、少しの間だけでもいいから…
俺のこと、考えてよ。





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