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【イケメン戦国】✿ 永遠の恋〜華〜 ✿

第74章 月花の誘惑(石田三成/甘め)



ふう、今日も疲れたなぁ。


湯浴みを終えて部屋へ戻り、行燈の下でひと息つくと、一日の疲れが身体に重く感じられた。

身体は疲れているのに何故か頭がはっきりとして、布団に横になってみても眠気はやって来なかった。






ふと思い出したのは昼間のことー。






私ってば、どうしてあんなに三成くんの表情や言葉一つにドキドキしたんだろう。

三成くんの知らない顔を一つ知る度に
何故か心が揺れる気がする。



私、家康に恋をしてるんじゃないの?
私、家康のことが好きなんだよね?


自分がこんな…浮気性だとは思わなかった。






でもきっと三成くんも、からかってるだけなんだよね。

家康と三成くんか……




モヤモヤと湧き上がって来るはっきりとしない自分の心に、すごく嫌な感じがして、益々目が冴えてしまった。



襖を開けると庭の紫陽花が綺麗な月明かりに照らされている。

そんな花に薄汚れた気持ちが洗われるような気がして、私は縁側に腰を下ろした。



湯浴みで火照った身体を包む風が心地良く
ただぼーっと水色の花を眺めていた。







「こんな所で、風邪をひきますよ」

「ー!?」




背後から声を掛けられ肩が跳ねた。
振り返らなくてもわかる、三成くんの声だ。


「考えごとですか?」


自然と隣へ腰を下ろす三成くんは、幾らとも距離を置かずにぴったりとくっついている。


トクントクン…


「…何となく眠れなくって。三成くんこそどうしたの?」

「今日中に終わらせる仕事があったので」

「そっか。お疲れ様」


ぎこちなさを必死に隠しながら、笑顔を向けた。
すると、澄んだ瞳を細めながら三成くんは見つめ返してくる。



あっ…



ど、どうしよう。やっぱり私…おかしいかも。

それ以上その瞳を見ていることが出来なくて
あからさまに顔を背けてしまった。



「すみません、迷惑でしたか?」

「えっ?そ、そんなことないよ」

「良かった。少し話をしても構いませんか?」

「あ…うん」





お願い…
このドキドキが三成くんに聞こえませんように。



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