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【イケメン戦国】✿ 永遠の恋〜華〜 ✿

第67章 天邪鬼な子守唄 −終−(徳川家康)



城に戻った頃には夕陽が落ちていた。



家康と信長様は
捕らえた男たちを牢へと連れて行った。

二人が散々に脅すものだから
気の毒なくらい縮こまっちゃって…。


「あんまり酷いことしてなきゃいいけど…」

私だって憎たらしいけど
やっぱり拷問なんて言われたら…ね。




サッ、サッ、サッ——


「入るよ、迦羅」

自室で待つ私の元へ、家康が帰って来る。
けど……いつもと違って、怖い顔…。


「あ、あの、家康…?」

「どうかした?」

「何でそんなに怖い顔してるの?」

無自覚なのか、自分の頬に手を当て首を傾げる。


やっぱり、ちょっとは酷いことしたのかな。
…別にあの人たちを庇うつもりじゃないけど。


「心配しないでよ。話、聞いただけ」

「え、そうなの?」

「本当に拷問したと思ってるの?」

「だって、そんな怖い顔してるから…!」


未だに目が吊り上がったままの家康の頬をそっと撫でる。

すると、その上に家康の手が重なった。


「ごめん、本当に何もしてないから」

「…うん」


私の為とは言え
家康にそんな顔はさせたくないの。

たまに見せる不機嫌な顔ならいいけど
本当に怒った顔は、好きじゃないから—。


「今日はもう帰っていいって」

「あ、そうなんだ」

「あんたも疲れたでしょ?帰ろう」

「うん。家康もね」




ようやく表情の和らいだ家康に安心して
また、二人で御殿までの道を辿った。




ところが、城下を歩いていても
何となく心此処にあらずな感じの家康—。

真っ直ぐに前だけを見つめて
会話も無くただ歩き続ける。



声を掛けようかとも思ったけど
何故かそれが躊躇われた。


そうして御殿までの間、私たちはただ手を繋ぎ
人気もまばらな通りを帰った。






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