第64章 天邪鬼な子守唄 −4−(徳川家康)
…明日のお休みかぁ。
何処に行きたいって言われても、家康と一緒なら何処でもいいんだけどな。
でも、何処でもなんて言ったら家康が困るよね。
折角私に聞いてくれてるんだし。
家康との思い出作りか…
ふふっ。こう言うの、すごく幸せだな。
あ!明日、晴れたらあそこに連れて行ってもらおうかな?
前にも連れて行ってもらったけど、また家康と一緒にあの景色を見たくなっちゃった。
きっと家康もいいって言ってくれるよね。
今日は注文の仕立ても無く、私は自室で自分の縫い物をしている。
自分のって言うか、家康の着物がほつれちゃっているからそれを直してるんだけど。
ーチクチク、チクチク
今日も一緒に帰れるのかな。
それとも、明日がお休みだから今日は遅くまで仕事だったりするのかな?
「迦羅、入ってもいい?」
「あ、家康!?」
どうぞと返事をする前に、私は既に立ち上がって襖を開けていた。
家康のことを考えていただけに、その声を聞いただけですごく嬉しくなって。
「随分素早いんだね…」
「え?あはは…つい嬉しくて」
中へ入り、襖を閉めた家康に振り向きざまに抱きしめられるー。
「ど、どうしたの?」
「あんたが可愛いこと言うから」
「…家康」
「そんなに会いたかった?」
「うん」
「毎日会ってるのに?」
「うん、そうだよ」
ギューッと抱きしめてくれる家康の背中を
私も思い切り抱きしめ返す。
昨日の夜も、今朝だってこうして触れていたのに…どうしてかいつもドキドキが止まらない。
それだけ、好きで仕方無いんだ。家康のこと。
「仕事終わったの?」
「これからもう一つ、会議があるんだ」
「…そっか」
「まだ時間あるから、休憩」
「ふふ、どうぞ」