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【イケメン戦国】✿ 永遠の恋〜華〜 ✿

第60章 一夜の妖花(武田信玄/甘々)


ー翌日ー


信玄様は大事な仕事が有ると、朝早くから城を留守にしていた。

私は陽の当たる縁側に出て、いつものように縫い物をしている。


「やあ迦羅さん」

「よー、またやってんのか?」


庭の向こうから幸村と佐助くんが揃ってやって来る。

「二人でどうしたの?」

「また謙信様に捕まってね。やっとの思いで抜け出して来たところなんだ」

「ふふ、二人とも大変だね」

「何だよ、意外と元気そうだな」

「ん?」



顔を見合わせた幸村と佐助くん。
私が元気ないと思ってたの?何で?


首を傾げる私に幸村が言う。

「あの人がさ、俺の居ない間迦羅を見ててくれって」

「何か心配事が有る様子だったからね」


…あ、もしかしたら昨日あんなこと言ってしまったから?

私が思いつめてるんじゃないかって、心配させてしまったのかも。



「多分それは……」



私は二人に、昨日のこととか悩んでることとか、素直に全部話した。

あんまり恥ずかしいって言う気持ちは無くて
この二人はいつでも相談に乗ってくれるから。



「ふーん」

「そんなことがあったんだね、迦羅さん」

「うん…」


真面目な顔で聞いてくれた幸村だったけど
それこそ首を傾げて何か考えていた。


「幸村?どうしたの?」

「いや、それってお前が勝手にそう思ってるだけじゃねーか?」

「勝手にって?」

「だからさ、誰もお前が子供だなんて思ってねーってこと」

「確かにね。迦羅さん、君は誰が見たって立派な大人だと思うよ」

「幸村、佐助くん…」



二人にそう言われ、何となく気持ちが楽になったような…そんな感じ。

そっか…。
きっと信玄様も、二人と同じように思ってくれてるんだよね。

そのままの私でいいって。






「おいお前たち、途中で逃げ出すとは」

刀を手にした謙信様が突如現れた。


「げっ!おい佐助!!」

「ああ。悪いね迦羅さん、急用が出来てしまったようだ」

「ありがとね。頑張ってー!」

「待てお前たち。逃がさんぞ」


もの凄い速さで駆け出した二人の背中に声を掛ける。





はぁ…。

何となくわかったかな。
子供みたいだったのは、私の、心だったんだよねきっと。

綺麗な人と自分を比べて
信玄様と自分を比べてー。




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