第59章 戦国狂想曲3幕②(家康ルート)
ー高い空は晴天。
暑過ぎない陽気と程良く吹いて来る風が、心地の良い日だった。
「…っくしゅん!!」
「ねぇ、大丈夫なわけ?」
「え?あ、うん平気だよ」
「…そう」
城の廊下で出会った迦羅は、さっきからくしゃみを連発していた。
ちょっと心配だけど、俺もまだ仕事あるし。
くしゃみなんてこんなちょっとしたことも、あんただと可愛く思えるんだよね。
「鼻水、出てるけど」
「えっ!?嘘っっ?」
「…嘘だよ。あんまり無理しないで」
「もぅ!からかうか心配するかどっちかにしてよね…」
どうやら元気はあるみたいだから、あんまり心配しなくても大丈夫かな。
「じゃあね」
「あ、家康っ…」
「何?」
「…仕事終わったら、少し時間もらえるかな?」
「いいよ。じゃあ後でね」
きっと、あれだよね。昨日の返事。
まだ聞いてもいない返事のことを考えたら…
何かこう、ドキドキしてるんだ。
今日は早く終わる予定だし、また後でね、迦羅。
………………………………
予定していた仕事を全て終えた頃
まだ陽も落ちない午後だった。
約束通りに迦羅の部屋に向かっていると、縁側で話しをしている迦羅と秀吉さんが居た。
「家康か、丁度いいところに来たな」
「何か?」
「ケホッケホッ…秀吉さん、大丈夫だから」
「そんなに咳して大丈夫なもんか」
「何か朝より、酷くなってない?」
「少し風邪ひいただけなのに秀吉さんが……っくしゅ!」
夏風邪かぜひくのは何とか…って言うけど。
お腹でも出して寝てるんじゃないの?
「家康、悪いんだが何かお前の薬飲ませてやってくれないか?」
「はい、いいですよ。迦羅歩ける?」
「…うん。ごめんね」
薬は持ち歩いてないから。
御殿に連れて行って、薬飲ませて、少し休ませたら送って来ればいいよね。
………………。
別に、やましい気持ちなんか、無いからね。