第57章 戦国狂想曲3幕(家康VS政宗/共通)
城へ戻って来ると、家康と政宗は秀吉さんに襟首を掴まれたまま連れて行かれた。
結局何の尾行だったのかわからないけど
別に私は怒るつもりも無かった。
この間だって、何か変わったことがあれば言えなんて言ってたもんね。
きっと何か心配してのことだったのかも。
部屋へ入りふうっとひと息ついた所で、外から三成くんの声がした。
「迦羅様、少し宜しいですか?」
「あ、どうぞ三成くん」
入って来た三成くんは、何だか申し訳なさそうな顔をしている。
三成くん、どうしたんだろう?
「先程秀吉様に聞きました。家康様と政宗様が、迦羅様の尾行をしていたと」
「うん、そうみたいだね。理由はわからないけど…」
「あれは私のせいなんです」
「え?どうして?」
「この前、迦羅様が茶屋で男性と一緒の所を見たのです。それを話してしまったものですから」
あ、そう言うことだったの。
…ん、でも別に尾行する必要は無いんじゃ。
「お二人とも、目の色を変えて心配されていました。迦羅様を取られるんじゃないかと」
「えぇっ?」
「あ、私が喋ったなんて内緒ですよ?」
「で、でもそんなこと…」
「それだけ、迦羅様のことを大事に思ってらっしゃるんですよ。家康様も政宗様も」
「そんなの…」
「だから怒らないであげて下さいね」
にっこりと微笑んだ三成くんは、部屋を出て行く。
残された私の頭の中は
どう整理していいかわからない程
色んなものが巡っていた。
家康と政宗が、私を…?
それで佐助くんと会っていた私のことを尾行したって言うの?
ドキン、ドキン。
三成くんの言葉を思い出すと勝手に胸の音が大きくなる。
私の片想いだと思っていたのに…。
本当に私のこと、好きだって言ってくれるの?
部屋の隅に目をやれば、既に仕上がって丁寧に畳んでおいたあの着物。
もし本当だったら…
ううん、本当じゃなくたっていい。
私も勇気を出して、好きって言いたい。