第57章 戦国狂想曲3幕(家康VS政宗/共通)
うーん…何だろう。
何だか今日は、誰かに見られているって言うか、そんな気がしてならない。
「どうかしたの?」
「え?ううん、何でも無い」
「そう?俺はずっと殺気を感じてるんだ」
「さ、殺気?」
チラリと辺りを見回したけど、特に私たちを見ているような人は居なかった。
「それってもしかして、佐助くんの素性が誰かにバレたとか?」
「それは無いと思うよ。こう見えても、俺は優秀な忍だからね」
「ふふっ、そうだった」
いつもは天井裏からこっそりやって来る佐助くんだけど、最近はこうして堂々と白昼の城下で会っているの。
灯台元暗し?ってやつなんだって。
何で会ってるのかって言うと、私の恋の相談に乗ってくれてるの。
いつだったか、天井裏から来た時にそんな話をしたら、わざわざ春日山から来てくれるようになって。
「ところでもう決まったの?」
「うん。覚悟を決めたよ」
「そう、それなら良かった」
「色々ありがとね佐助くん」
ーと、その時。
「おい何やってんだ?政宗、家康」
聞き慣れた秀吉さんの声が聞こえた気がして、後ろを振り返ると…
「お前っ!デカイ声出すんじゃねーよ!」
「騒いでると、バレますよ」
「だから何をやってるんだ?」
「ちょっとした偵察だよ偵察!」
「あ、まずい…迦羅に見られた」
「はぁ?」
隠れるようにこちらを伺っていた家康と政宗。
そしてその横で呆れた顔をする秀吉さん。
えーっと…もしかして私が感じてた視線って、これだったの?
「成る程ね。どうやら君はよっぽど大事にされているみたいだね」
「そ、そうなのかな?」
そこへ、秀吉さんが家康と政宗の襟の後ろをつまみながらやって来る。
「一体どうしたの?」
「尾行の下手人だ」
「…んだよ秀吉。邪魔しやがって」
「ほら、もうじき暗くなるから帰るぞ迦羅」
「あ、うん。佐助くん、わざわざ来てくれたのにごめんね」
「いいんだ。会えて良かったよ」
「それじゃあまたね」
「ああ、頑張って」
佐助くんと別れて、皆と一緒に帰路につく。
家康と政宗は黙ったまま。
二人の事情は知らないけど
何で私尾行されていたんだろう?
……変なの。