第54章 戦国狂想曲2幕(秀吉VS光秀/共通)
何処に居るんだろう秀吉さん。
城内を歩き回ってみるけど、秀吉さんも他の皆も見当たらなかった。
居ないってことは、皆外に出てるのかな?
これは…困ったな。
時間だけが過ぎていく中、困り果てて針子部屋に戻ろうとした時、廊下の向こうを通り過ぎようとしている秀吉さんを見つけた。
「秀吉さん!」
駆け寄る私の声に気付くと秀吉さんは足を止め、一緒だった家臣の人に何か話している。
「あの、秀吉さん、相談が…」
「悪い、少し急ぐんだ」
それだけを言うと、足早に行ってしまった。
……こんなに忙しそうにしてるんだから、仕方ないよね。
針子部屋に戻った私は、出来あがった着物を風呂敷に包む。
「迦羅様、どうでしたか?」
「皆忙しくて駄目みたいなの。私行ってくるね」
「ですが…危ないのでは?」
心配そうに伺う針子仲間たち。
だけどやっぱり、仕事は仕事だから。
「ちゃんと気を付けて行ってくるから心配しないで」
「何かあればすぐに逃げて下さいね」
「くれぐれもお気を付けて」
「うん、ありがとう」
そうして私は風呂敷包みを抱え、誰に止められることも無く城を出た。