第54章 戦国狂想曲2幕(秀吉VS光秀/共通)
ー翌日。
城の中は何だか忙しそうで、秀吉さんたちや家臣の人たちが行き交っている。
針子部屋に向かう途中、廊下を歩く光秀さんに出会う。
「相変わらず呑気な顔だな」
…何で開口一番がそれなの?
私はひとこと言いたい所を我慢した。
「何かあったんですか?忙しそうですけど」
「城下にゴロツキ連中が出て色々騒ぎを起こしているらしい」
「ゴロツキ?」
「昨日お前も絡まれたようだがな」
「何処から聞いたんですか…」
「いや、お前が絡んだのだったか?」
「違いますっ!」
もう!!人の顔を見ればいちいち…
こうやって光秀さんにからかわれるのはいまいち慣れないんだよね。
まぁ慣れる必要も無いとは思うけど。
「城の者が見回りに出ているが、今日は大人しくしていろよ」
「あ、でも今日は納品に…」
「危ない目に遭っても毎度秀吉は現れないぞ」
「で、でも今日は納品の約束が…っ」
「じゃあな」
……最後まで聞いてよ。
危ないって言われても、着物の納品が今日の約束なんだもの。
その約束を破る訳にはいかないし…
困ったな。
どうしようか悩みながら、取り敢えず針子部屋に向かった。
「あ、迦羅様。今日の納品なんですけど…」
「うん。さっき城下に出るなって言われたの」
「どうしましょう、困りましたね」
折角皆で一所懸命作った着物なのに…。
お得意様だし、迷惑かける訳にもいかない。
でも、何かあったらまた秀吉さんに…
そうだ。秀吉さんに相談してみようかな?
見回りに出る人に、頼めるかも知れないし。
「私、ちょっと相談して来るね!」
「宜しくお願いします、迦羅様」
そして私は秀吉さんを探しに針子部屋を後にした。