第54章 戦国狂想曲2幕(秀吉VS光秀/共通)
「あの、秀吉さん、ごめんね」
「気にするな」
あの後、三成くんが手当ての道具を持ってきてくれて、秀吉さんが後は任せろと言って三成くんは去って行った。
ひたすら謝りながら。
三成くんに悪いことしちゃったな…。
秀吉さんは消毒をして軟膏を塗ってくれる。
「家康の軟膏だから、良く効くぞ」
「うん、ありがとう」
そこへ、悠々と光秀さんが通りかかった。
「朝からおままごとか?」
ニヤリと笑う顔を向けられ、秀吉さんがむっとする。
「何だ、怪我したのか?」
「ほんのちょっとだけ…」
「傷が残ったら駄目だから手当てしてるんだ」
光秀さんに目を向けることなく、秀吉さんは手当てを続ける。
「なるほど。嫁に行けなくなっては困るな」
「よ、嫁に??」
「まぁ、行く当てもないだろうが」
「なっ…余計なお世話です!」
「おい、からかうなら向こうへ行け」
「何もムキになることはないだろう?」
視線を合わせた二人は、やっぱりピリピリと険悪なムード満点。
何でこうなのかなぁ。
この二人が合わさるといつも喧嘩になりそうで。
「あのー…喧嘩しないで下さいね」
「喧嘩?この男とは喧嘩にもならん」
鼻で笑う光秀さんに、秀吉さんも反論する。
「こいつには言うだけ無駄だからな」
「ふん」
踵を返した光秀さんはまた悠々と歩いて行く。
…この調子じゃあ仲良く、なんて出来そうにないか。
「ほら、終わったぞ」
「あ、ありがとう」
「朝から嫌な思いをさせたな」
「ん?大丈夫だよ!」
多分、手当てしてるところを光秀さんにからかわれた事を言ってるんだよね?
秀吉さんが気にすることじゃないのに。
いつも人の心配ばかりするんだから。
本当に、なんて優しい人なんだろう…
秀吉さんって。