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【イケメン戦国】✿ 永遠の恋〜華〜 ✿

第51章 情恋歌(明智光秀/裏甘)


ー翌日ー


私は針子部屋で仕事をしている。

さっき秀吉さんに会ったけれど、光秀さんはまだ帰っていないと教えてくれた。



いつものことだって皆言っていたけど
何処に行っているか誰も知らないなんて。
本当に良くわからない人なんだなぁ。


針を動かしながらも、私の頭の中は光秀さんでいっぱいになっていた。










そして午前中の仕事を終え、自室へ戻る。

ひと息ついたところで、またあの本を手にして読み始めた。

光秀さんが居なくたって、きちんと読めるようにならなきゃ。
…やっぱり駄目な奴だって思われたくはないし。




そうして本に集中していると
部屋の外から声がかかった。

「おい、入るぞ」

「え、光秀さん?」

現れたのは、やっぱり光秀さんだった。

本を開く私の手元を見て、心なしか微笑んだように見える。


「ちゃんと一人でもやっていたか」

「あ、はい。光秀さんも忙しいようですから」

「それはいい心掛けだ」


少しの沈黙の後、私は思い切って聞いてみた。


「光秀さんは、良く城を留守にするって聞きましたけど…何処に行っているんですか?」

「それを聞いてどうする」


表情は変わらないものの
何だか私には踏み込まれたくないような、そんな雰囲気があった。


「いえ…」

「いいか?俺のことを詮索するな」

「詮索って、そんなつもりでは…」

「これからも暫く留守にする。悪いがそれは一人でやるんだな」


急にいつもの冷たい目を向けられて、私はそれ以上何も言えなかった。



「お前が俺のことを知る必要はない」



出て行く間際に掛けられたまるで突き放すような声が、私の胸の奥まで刺さって…痛んだ。









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