第50章 三色の秘薬(家康・光秀・佐助/微甘)
「あ、ところで今日はどうしたの?」
「いつも通り迦羅さんがどうしているかと思って、様子を見に来たんだ」
「いつもありがとう。私は元気だし、毎日楽しくやってるよ」
「そう、それなら良かった」
実は今日、通りで迦羅さんを見かけたんだ。
声を掛けようと思ったけど、家康様と二人で何処かへ行ってしまったからね。
安土の皆と仲良くやってるのはとても良いことだよ。
そうして戦国ライフを楽しんでくれたら
俺も嬉しいからね。
だけど…
こうやって俺が迦羅さんの様子を見に来るのが、不要なことになってしまうのが寂しいのかもしれない。
俺の我が儘なんだとは思うけど。
「佐助くん?どうしたの?」
「これからも、こうして様子を見に来てもいいだろうか?」
「うん、もちろんだよ!私からは、春日山まで会いに行けないからね」
「ありがとう迦羅さん」
余計な心配、だったかな。
迦羅さんはいつだって優しいんだ。
それを忘れるところだったよ。
「私も佐助くんに会いたいしね」
「迦羅さん…」
ーと、廊下から微かに足音が聞こえて来る。
「迦羅さん、俺はもう行くよ」
「うん。またね佐助くん」
笑顔の迦羅さんに見送られ、慣れた天井裏から安土城を後にした。
俺に会いたい、か。
そんなことを言われたら、勘違いしてしまうよ。
そうじゃない事はわかっているけどね。
でも、もしも本当にそうだったらと
俺は思ってしまうんだ。