第45章 飴と鞭と甘い罰(織田信長/甘め)
寝たのか?
俺に背を向ける迦羅の様子を伺ってみると、規則正しい寝息を立てているのがわかる。
まさか本当に寝てしまうとはな。
迦羅に触れるなと言うだけでは分が悪いと思い、俺も触れないと言ったが…これはかなりこたえる。
すぐそこに愛しい貴様の身体があり、温もりがある。
それに触れぬなどと
我ながら良くそんなことが言えたものだ。
一体どの口が言ったのか…
そもそも俺は何故秀吉になど妬いたのか。
男の嫉妬ほど厄介なものはないようだ。
触れ合いの無い夜がこんなにも長いとは…
俺も寝てしまえばいい。
朝になれば貴様に触れられるからな。
言い聞かせるように再び目を閉じる。
・・・・・・・・
迦羅の身体に触れた時の
その肌の柔らかさ、滑らかさ、温かさ。
迦羅の出す甘い声。
俺にしか見せない愛らしい顔。
「………」
眠れぬ。
胸の奥が悶々として眠れぬ。
これは俺のほうが言いつけを守れそうに無い。
俺は、貴様に触れたいのだ、迦羅。
衝動に駆られ迦羅に手を伸ばすー。
「ん……」
寝返りをうった迦羅の身体が、俺の胸に触れないところで止まる。
「……っ!!」
その僅かな距離が堪らなくもどかしく
ついに俺は迦羅の腰に腕を回した。
触れた場所から迦羅の体温が全身に伝わるようで、一気に俺の身体が熱を上げていく。
「触れたら駄目ですよ」
咎めるような迦羅の声。
「起きていたのか」
「はい」
「もう仕置きは終わりだ」
「…私は、触れませんからね」
「それでは俺がもたん」
「知りませんよそんなこと」
「…何故だ?」
「意地悪な信長様に、お仕置きです」
何という女だ貴様は。
こんなに俺が触れたいと言っているのに。
たとえ俺から触れたとしても、貴様から触れてはくれぬと言うのか?
…だが、ただの強がりなのだろう?迦羅。