第45章 飴と鞭と甘い罰(織田信長/甘め)
上半身を起こし迦羅に覆い被さった俺は、その唇を塞ぐ。
「んっ、…」
柔らかな迦羅の唇の感触と漏れる吐息に、分け与えた側からまた熱がこもる。
何度も繰り返す口付けにさえ
迦羅は俺に手を触れようとはしない。
何故だ。何故意地を張る?
いつものようにこの首に腕を回せ…
俺に縋りつく貴様が堪らなく愛しいのだ。
そうでなくば、この熱が俺の独りよがりではないか。
「…迦羅。機嫌を直せ」
…頼むから、俺に触れてくれ。
唇を離し、迦羅をじっと見つめる。
すると、控えめに伸ばされた手が俺の頬に触れる。
「どうして、そんな顔をするんですか?」
「…俺は、貴様に触れて欲しい」
「どうして?」
悪戯な笑みを浮かべる迦羅だが、今宵は俺の負けだ。
「貴様に触れてもらえぬと、寂しい」
「ふふっ、我が儘な人…」
「…触れてくれるか?」
「私も信長様に触れないと、死んでしまうかもしれません」
そう言って恥ずかしそうに頬を染める。
俺はそんな貴様に心底惚れているのだ。
俺が触れて貴様が触れて…
二人で愛し合うことがどれ程幸せなものか、思い知らされた。
「では、仕置きは終わりだな?」
「はい。もっと触れたいです信長様に」
「存分に触れろ、一晩中な」
着物を乱しながら隙間なく触れていく。
手も唇も俺のすべてが貴様を求めている。
迦羅の手が俺の背を抱いて、重なる胸から互いの騒ぐ鼓動が鳴る。
俺は貴様のすべてに触れたい。
だから貴様も、俺のすべてに触れるがいい。
「あっ…信長様…」
「愛している、迦羅ー」
混ざり合う体温と吐息との間で俺は思う。
まさかこの俺が…返り討ちにあうとはな…。
完