第44章 飴と鞭と甘い罰(石田三成/甘々)
連れて来られたのは書庫。
机の上にも床にも、あらゆる本が乱雑に積まれていた。
「申し訳ないのですが、少し片付けを手伝って下さい」
「うん、やるよ」
三成くんに手渡される本を、指示された通りしまっていく。
「じゃあ次はこれを、そこの棚に」
「わかった」
本棚に向かい、本を戻そうと手を伸ばしていると…
突然背後から三成くんの手が伸びてきて、私の手首をそのまま押さえ付けた。
「あっ!」
背後に密着した三成くんが、耳元に顔を寄せる。
本棚と三成くんの間に挟み込まれて、私は身動きが取れない。
ドクドクと心臓が激しく音を立て始める。
「何か安心していますか?」
「…え?」
「本当は、怒っているんですよ」
「約束…破ったから?」
「勿論。どうして言うことを聞かなかったんです?」
「あのっ、それは…」
相変わらず柔らかい口調なのに
どこか普段と違う三成くんの声…
「ほら、続きは?」
「お母さんが倒れてるって、い、言われて」
「それで?」
話を促しながらも、三成くんは空いている手で私のお腹を抱き、耳元に唇を当てる。
「…悪い人にも、見えなくて…」
「だから着いて行ったんですか?」
吐息がかかるたびに、私の心臓が壊れそうになった。
「んっ…ごめんなさい…っあぁ!」
「謝るか感じるか…どっちかにして下さい」
…何だか三成くん、すごく意地悪だよ。
いつもは、こんなこと言わないのに…!
「んあぁっ…!み、三成くん、もう…」
お腹を抱く腕が力を込めて、私と三成くんの身体は更に密着していく。首筋に噛み付くように唇を這わせ、時折熱い舌の感触…
「やっ、だめ…!」
「迦羅様はもう少し危機感を持つべきです」
「え?」
「…男は皆“いい人そう”から始まるんですから」
そう言うと、私の身体をくるりと回し、今度は向かい合う形で本棚と三成くんに挟まれる。
…もう私駄目かも…こんな三成くんに責められたら、おかしくなっちゃいそうだよ…。