第44章 飴と鞭と甘い罰(石田三成/甘々)
…………
まだかなぁ。
あれから暫く待っているけど、一向に誰もやって来ない。
本当は早く反物を受け取って
仕立てに入りたいんだけどな。
三成くんは心配してくれてるけど、皆だってそれぞれ仕事があるんだから…。
やっぱり悪いよね。
部屋を出て三成くんを探すけどなかなか見当たらない。
どうしよう、黙って行くのも悪いだろうし。
でも早く行きたいし…うーん。
「どうかされましたか?」
声を掛けてくれたのは、家臣の人だった。
事情を説明すると、では誰か探してきましょうと言うので慌てて引き留める。
そうしていると、三成くんがやって来た。
「あ、三成くん!」
「すみません迦羅様。なかなか見つからなくて…」
「あのね、私なら大丈夫だから、行ってくる」
「ですが…」
「ちゃんと気を付けるから、行かせて?」
「……では一つ約束して下さい」
「うん?」
「知らない人には決して着いて行かないこと」
「うん、わかった」
「おかしいと思ったらすぐに逃げるんですよ」
「うん」
「それからあまり可愛らしい顔は控えて下さい」
「え?」
「それから…」
「だ、大丈夫!約束するね!」
何だか長くなりそうだな…三成くん。
そうして心配そうな三成くんに見送られ、城を出た。
くれぐれも、と念を押されて。