第41章 戀−koi−(豊臣秀吉/甘々)
「ずいぶん陽が昇ったな」
着替えをしながらまるで他人事みたいに言うけど…
「秀吉さんのせいでしょう?」
「ははっ、そうだな」
私はまだ火照る頬を隠しながら、帯を締めていく。
すると背後から秀吉さんの手が伸びて来た。
「もっとちゃんと締めないと解けるぞ」
そう言ってテキパキと私の帯を直していく。
世話焼かれるのもすっかり板についたなぁ、私。
「よし。そろそろ行くか」
御殿の外へ出ると、政宗と光秀さんが居る。
「何だ?どうしたんだ?」
「信長様から伝言を預かって来たんだよ」
「急遽だが地方から大名が来る。午後の謁見に同席しろとの事だ」
「…そうか、わざわざ悪かったな」
お仕事になっちゃったのか…。
残念だけど…しょうがないよね。
伝言を伝え終えた二人は、私たちを見て何だかニヤニヤしている。
「何だよ?」
「いや、朝からお盛んなことだと思ってな」
「えぇっ!?」
「なっ…!」
「何、部屋の前まで行ったが、あのような迦羅の声が聞こえてきたものでな。ククッ」
私も秀吉さんも顔を見合わせて赤くなってしまった。
「お陰で待ちくたびれたぞ、迦羅」
射抜くような光秀さんの目に、また頬が熱くなる。
「お前ら…!」
「ま、二人とも健全な大人だってことだ!」
秀吉さんの肩をポンと叩くと、いやらしい笑顔を残した二人は去って行く。
「……」
「……」
「…い、行くか」
「うん…」
お互い恥ずかしさでぎこちない会話を交わし、歩き出した。