第41章 戀−koi−(豊臣秀吉/甘々)
「ん、ん〜…」
小鳥の囀りで目が覚めた私は、障子窓から漏れる明かりを確認した。
あ、良かった、晴れてる!
「秀吉さん、起きて?」
「うん…」
返事をしながらも私の腰をガッチリと抱いた腕は離れない。
私もこうしているのは好きだけど…
「秀吉さん!」
「…もう少し」
「もうっ!」
朝から本当に可愛いんだからっ!
あ、違う違う!
昨日も遅くまで仕事してたし、疲れてるんだろうけど…
今日は一緒に出掛けるって言ったじゃない。
ほっぺをむにむにとつねってみても起きない。
脇腹をくすぐってみても起きない。
「………」
「起きてよ、秀吉さん…」
目を閉じたままの秀吉さんに近付いて、そっと唇を落とす。
「んんっ!?」
唇が触れた途端、秀吉さんの手が私の頭を押さえつけ、触れるだけだった口付けが深くなる。
「…ん、…っふ」
チュッチュッ
ようやく唇を離した秀吉さんは朝から爽やかな笑顔で…
「おはよ」
「おはよう。っていうか起きてたでしょ?」
「お前がしてくれるの待ってた」
「もうほんっと意地悪…」
本当は怒ってなんかいないけど、あやすみたいな優しい手が気持ちいい。こうして朝起きたら目の前に秀吉さんが居る、こんな幸せなことってないよね。
「ほら、早く起きよう」
上半身を起こして、秀吉さんに手を伸ばす。
私の手を取った秀吉さんは、起きるフリをしてその手を引っ張った。
「わっ…!」
ドサッー
再び布団に倒れこんだ私に覆い被さりながら、いつもの人たらしスマイル…
これはもしかして…朝から…
「だ、だめだよ!起きる時間っ!」
「ちゃんと出掛けるから、いいだろ?」
「ちょっと、秀吉さ…んんっ…!」
有無を言わさずに隙間から入り込んでくる手。
次々と滑らせられる唇。
ちょっと強引だけど…全部受け止めたいの。
寝ている間にはだけた着物
ちょっとだけついた寝癖
寝起きで掠れた声
そして、甘ったるい秀吉さんの香りに包まれた朝が始まるー。