第38章 戦国狂想曲1幕①(信長ルート)
これが貴様の温もりか。
悪戯に触れることはあったが
こうして互いの想いを通わせてしまえば、こんなにも愛おしいものだとは。
触れる身体も、柔らかな髪も、鼻を掠める甘い匂いも…
今こうして手に入れることが出来た。
重なった迦羅の胸から速まった鼓動が伝わる。
…だが其れは俺も同じこと。
ふと、今朝のことを思い出した。
「貴様に怒鳴られる日が来るとはな」
「あ、あれはっ…二人があんなことを…」
迦羅のほうも、咄嗟に出た怒りの言葉を思い出したのか、頬を赤らめて必死に言い返す。
「…ひどいこと言ってごめんなさい」
「構わぬ。俺が怒らせたんだからな」
きっと貴様が雷を落とさなければ、未だにあの男と睨み合っていただろう。
こうして貴様に触れることもなく…な。
「でも…」
顔を上げた迦羅は照れくさそうに俺を見る。
「信長様のあの言葉が聞けて…本当は嬉しかったんです」
「愛している、か?」
「はい」
また頬を赤くして嬉しそうに微笑む。
貴様が嬉しいと言うならば何度でも言ってやろう。聞き飽きたと言うまで何度でも、愛しているとー。
「迦羅」
「…はい」
「愛している」
「私も…愛しています、信長様」
これまで見たものとは違う笑顔…
隠しきれない愛情を含んだ、まるで大輪の美しい花のような。
堪らなく愛しい迦羅の顎を掬い
ゆっくりと唇を重ね合わせる。
「んっ…」
迦羅…俺は貴様が愛おしい
どれ程こうして腕に抱く夢を見たか
どれ程、貴様の愛を求めていたか…
これから貴様にすべて教えてやろう。
チュッ…
水音と共に離れた唇のすぐ先で、迦羅は僅かに息を上げて目を潤ませていた。
「…っ!」
どうにも俺はここで止められないようだ。
激しく早鐘をうつ自らの欲に、抗えそうにもない。
「今宵、俺に貴様のすべてを捧げるか?」
「……はい」
恥じらいながらも咲いた迦羅の笑顔。
もう、この俺を止めるものは無かったー。