第37章 戦国狂想曲1幕(信長VS謙信/共通)
「これはマズイことになりましたね」
広間へと場所を移した信長と謙信は、佐助の言葉を聞いていた。
「佐助、迦羅は何故あのように怒っていた?」
不安げな顔で謙信が問う。
「迦羅さんの気持ちを無視しているからですよ」
「何?どういうことだ」
納得いかない顔で信長が問う。
「お二人とも、迦羅さんの愛を手に入れるために戦おうとしているんですよね」
「ああ」
「その通りだ」
「…あの愛の告白はなかなかシビレました」
「おい、話を逸らすな」
「早く続けろ、佐助」
二人に促され、佐助は本題に戻る。
「お二人が如何に迦羅さんを想っているかはわかりました。しかし、肝心なところを聞いていませんよね」
「肝心なところ?」
「ええ。迦羅さんが愛しているのは、一体誰なんでしょう?」
「愚問だな。俺に決まっている」
「ぬかせ、断じてお前などではない」
「…意外に俺かもしれませんね」
「……」
「……」
佐助の言葉に二人が刀に手を掛けた。
コホン!と咳払いをして佐助は続ける。
「冗談はさておき、お二人とも迦羅さんのほうから好きですと言われたことは?」
「……」
「……」
「やっぱり。迦羅さんの返事もなしに手に入れようとしても、迦羅さんのほうがそれを望んでいなければ話になりません」
「つまり迦羅を無視しているこの勝負に意味はないと言うことか?」
「成る程。それで怒っていたのだな」
「女性の気持ちを無視して、愛は得られませんからね」
悠々と茶をすする佐助の傍らで
信長と謙信は考え込んでいる。
「兎に角、迦羅さんのあの様子では余程傷付いているでしょうね」
「どうすればいい?」
「まずは誠意を持って謝ること、重要ですよ。その上で、もう一度真剣に自分の気持ちを告げればいいんです」
先程の迦羅の怒りようを思い出し
何とかせねば、と思う二人であったー。