第37章 戦国狂想曲1幕(信長VS謙信/共通)
ー刃を交えながら信長は思う。
何が越後の龍だ。
笑わせてくれる。
貴様のような男など、どじょうで十分。
身の程をわきまえろ
迦羅は絶対にやらん。
俺が愛する唯一人の女である迦羅だけはな。
ーそして謙信も思う。
天下人など戯れ言に過ぎん。
いくらお前が足掻こうと、天はお前には靡かん。
せいぜい浅はかな夢を見るがいい。
迦羅を愛しているだと?
二枚目風情でほざくな。
迦羅は渡すものか。
やっと見つけた、愛でるべき華なのだからな。
「ストーーーーーーーップ!!!!!」
安土中に轟こうかと言う程の迦羅の声で二人は動きを止めた。
咄嗟に出た言葉に皆理解が出来ていない。
「何だその、すとっぷ、とやらは」
「待てってこと!! 待 ・て !!!」
「おい貴様、俺に待てと言うのか」
「迦羅、水を差してくれるな」
「いいから黙って!!!」
睨みを効かせた迦羅の気迫に押され、二人は静かになった。
「私は物じゃないの!何よ勝手に二人で盛り上がっちゃって!」
信長と謙信のみならず、その場に居た全員が自然と背筋を伸ばす。
「所構わず刀を振り回したいなら勝手にすれば!?でもそれを私のせいにしないでっ!!」
「貴様…何を怒っている?」
「信長様なんか頭でも打って草食男子にでもなっちゃえばいいのよ!」
「迦羅、少し落ち着け」
「何が惚れている、よ!謙信様が好きなのは戦でしょ!そんなに好きなら戦とでも結婚したら!?」
ふうっと一つ、深いため息をついた迦羅。
「もう知らない!!二人とも大っ嫌い!!」
凄まじい雷を落として去っていく迦羅。
残された皆はしばらく呆然とするしかなかったー。