第37章 戦国狂想曲1幕(信長VS謙信/共通)
私はひとつため息をつく。
「ねぇ、何なの?これ」
佐助くんの隣に座り、冷静に聞いてみる。
戦国時代だけあって、私の計り知れないことが起こっているのかもしれない。
・・・・・
「俺が迦羅さんの所へ行くと言ったら、着いて来てしまったんだ」
「…謙信様が?」
「ああ」
「…それだけ?」
「ええ」
「…何で門から入って来たの?」
「謙信様は天井裏に慣れていないからね」
「………」
もしかして佐助くんて…馬鹿なの?
敵将が堂々と城に入って来たらそりゃこうなるでしょうよ。
そういうのを止める役目も、佐助くんなんじゃないの?
何で一緒になって堂々と入って来るの!!
何だか佐助くんとは話にならない気がして、私はまたため息をついた。
一方庭では…。
相変わらず火花を散らした二人。
ギリギリの間合いのせいか、互いに動こうとはしない。
「よくものこのこと。余程命を捨てたいとみる」
「馬鹿を言え。死ぬのはお前のほうだ」
「城の庭を貴様の血で汚すことになるとはな」
「ふん、俺の血は一滴もくれてはやらん」
そんなやり取りをしながら、不穏な空気だけが漂う。
「ねぇ秀吉さん、黙って見てていいの?」
この先斬り合いでも始まったらと思うと、心配になる。
廊下にはずらりと家臣たちも集まり、二人の行く末を固唾をのんで見守っていた。
そこへ政宗と家康、三成くんに光秀さんも現れた。
「お、何だか面白いことになってるじゃねーか」
「笑い事じゃないですけど」
「やはり二人とも別格ですね」
「ほう、これは見ものだな。ククッ」
誰も止めようとする様子はない。
秀吉さんも、何か言いたげだけど、黙って信長様を映していた。